2008年夏 合格への軌跡  合格者インタビュー@ 

 

「年齢も、頭の良さも関係ない。努力した人だけが報われる。」

 

国家T種法律職(法務省内定)、東京都T類B、参議院事務局U種、国税専門官等合格
早稲田大学社会科学部在学中 M・Eさん

 

−1年間の受験生活を振り返ってみて、どんな感想をお持ちですか。


 途中つらいと感じたこともありましたが、あっという間で、とても充実していたと思います。

 

 

−1年間どのようなペースで勉強してきましたか?


 夏休みごろから、1日10時間は勉強しようと決めて毎日自習室に通い、実行しました。年が明けてからは12時間に増やしました。休みは日曜の夜だけと決めて、午後7時以降に家族と話をしたりテレビを見たりしていました。

 

 

−どうしてそんなに頑張れたのですか?


 落ちたときにも「これだけやったんだから」と納得できるような生活をしたかったからです。自分の過去を振り返ってみると、いろいろな失敗もあったけれど、その時々を後悔しないように一生懸命やってきたという思いがありました。勉強しないと不安になるので、どうして今勉強しているのかを常に考えて、モチベーションを高めていました。

 

 

−Mさんは高校卒業後、いったんは料理の専門学校に入って中華料理のコックになるなど、異色の経歴の持ち主です。どういう思いで国家公務員を目指していたのでしょうか。


 国Tを目指す人の多くは、自分とは違い、小さい頃から頭が良く、エリートとして恵まれた環境で育ってきたと思います。私は社会の底辺の仕事を経験してきたので、官僚の中にも、底辺にいる人たちの気持ちを分かる人がいてもいいのではないか、と思っていました。
 私はとくに、問題を抱えている社会的弱者の支えになりたいという気持ちが強くあります。法律を通して多くの人を支えたり幸せにする仕事をしたいと思い、法務省と厚生労働省を志望しました。結果的に法務省の矯正局から内定をもらったのですが、犯罪者だけを個人的に責めるのではなく、犯罪者を生んだ環境や社会的背景を踏まえて、相手を理解しようという姿勢で向き合っていきたいと思っています。

 

 

−Mさんはかなり上位の方で合格しましたが、国Tに受かる自信は最初からあったのですか。


 最初からどころか、最後までありませんでした。高校の時は学年でビリでしたし、大学を受けるときにも周囲から笑われるか驚嘆の目で見られるかのどちらかでした。また、人より5年も余計に回り道しているので、「受かっても内定はもらえないだろう」と心のどこかで思っていました。ですが、それだけに、落ちたのを年齢のせいにしないよう、人より少しでも良い成績をとるために頑張ろうと思いました。
 最初は自分のやり方に自信が持てず、人のことばかり気になっていたのですが、不安は勉強でしか解消できないから悩むだけ損と思い、先生や友人のアドバイスを容れつつ勉強しました。

 

 

−具体的にはどのような勉強方法をとりましたか。


 まず私が心がけたのは、講義を復習するときに、たんに結論だけを覚えるのではなく、プロセスを重視して、自分の頭で徹底して考えることです。たとえば判例を読むときにも、事件の情景が映像として浮かぶぐらいまで想像力を駆使して読み込みました。過去問を回すときにも納得がいくまで考えるため、1問に1時間かかりました。これではとても終わらない、3回まわせないと焦ったのですが、1回目に徹底して考えたおかげで、2回目以降はそれほど手間はかかりませんでした。結果的に3回まわす必要はなかったのです。
 また、講義のレジュメは常に机に広げて参照し、新しい知識があればどんどん書き込むようにしました。何十回も見直したので、しまいにはどんな問題を解いてもすぐにレジュメの該当ページを開けるぐらいになっていました。

 

 

−すごいですね。本番の問題はすらすらと解けたのですか?


 教養はさんざんでした。緊張のあまり文章理解に時間を使いすぎ、人文でも選択肢を絞るところで必要以上に時間をかけてしまいました。その結果、数的・判断・資料に全く手をつけられませんでした。これはもう落ちると覚悟しました。
 それに対して専門は、やれば点数をとれるという実感がありました。時間はまったく余りませんでしたが、難しい問題も条文の趣旨に遡って考えるようにし、憲法・行政法・民法は全問正解しました。

 

 

−論文はどうでしたか?


 これも憲法に時間をとりすぎてパニックになりました。民法、行政法はろくに構成もせずにとにかく書きなぐりました。今考えると、論文対策のゼミで答案をたくさん書き、常に条文の要件・効果から考える思考手順を確立していたので、そこまで外れなかったのだろうと思います。

 

 

−それはやはり、徹底して基礎を習得し、法的思考力を身につけていたからできたのでしょう。面接には自信があったのですか?


 自分の中で国家公務員になりたいという思いはあふれるほどあったのですが、実際にそれを人前で話すことがなかったので、なかなか言葉にならずに苦しみました。そこで、先生からのアドバイスを受け、全部を伝える必要はないから、自分が一番話しやすく相手が納得してくれるものに絞って話すようにしました。

 

 

−官庁訪問を乗り切るのに必要なものは何でしょうか。


 「強い気持ち」と「周囲の支え」だと思います。毎日精神的にハードでしたが、その分、日々自分が成長して変化して行くのを実感できました。これは自分1人ではできなかったと思います。
 とくに塾長には、官庁訪問の後で毎晩、相談に乗ってもらいました。私は思い込みが強く、視野が狭くなりがちだったのですが、塾長のアドバイスのおかげでいろんな視点があることに気づきました。自分中心にではなくいろんな視点を念頭に受け答えをすることで評価が良い方向に変わっていったと思います。どんなに辛い思いをしても、

「塾へ行けば塾長がいる」と思うと本当に心強かったです。家族や友人からもずいぶん支えられました。これまでも周囲への感謝の気持ちは持っていたつもりでしたが、このときほど実感したことはありません。

 

 

−予備校を利用するにあたって喜治塾を選んだ理由は何ですか?


 少人数制だからです。大きな予備校に行くと、人として相手をされるのではなく、機械的に処理されるような気がしました。自分のことを見て、知ってくれて、とくに自分が落ち込んでいるときに支えてくれる、頑張れる環境が喜治塾にはあると思いました。

 

 

−実際に通ってみて喜治塾のどのような点が良かったでしょうか。


 質問しやすい環境でしたし、授業中もひとり一人当てて答えさせたり、レジュメも書き込んで完成させていく方式なのが良かったです。国T向けの講座では、基本書判例読み込み講座が、受けている最中は効果が実感できなかったのですが、今考えるとあれがなければ受からなかったと思います。というのも、基礎的な知識はレジュメに書いてあるのですが、学者が書いた文章を読むことでより理解が深まったからです。また論文ゼミでは、押さえておくべき基本論点の範囲が分かって、それだけでも安心感が違いました。
 勉強以外で良かった点は、友人がたくさんできたことです。毎日が不安で押しつぶされそうな試験の直前期に、いっしょに頑張ってきた受験生仲間から励まされるのと、それ以外の友達から励まされるのとでは重みが違います。面接の準備を皆でしたときも、いろんな視点からアドバイスをもらえました。

 

 

−最後に後輩へのアドバイスやメッセージをお願いします。


 学生時代は勉強以外のこともしておいた方がよいと思います。大学の授業の一環として東ティモールでフィールドワークをしたときに痛感したことですが、準備段階でいくら入念に下調べをして知識を得ても、実際に現地に行くと通用しないことが多いのです。生活者の視点に立ち、国民の気持ちを理解しなければ、法律も役に立たないと思います。
 私は大学祭の運営やボランティア、海外旅行など、考えるだけでなく行動することを心がけました。自分の知っている世界は非常に狭くて、いろんな分野で頑張っている人がいる事を知りました。さまざまな人と接することで「自分も頑張らなくちゃ」とエネルギーを得ていました。
 公務員試験は純粋に努力した人が報われる試験だと思います。つらいときこそ、自分の将来を思い描き、目的を見失わずに頑張ってください。

 

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